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機材の評価、大判レンズ(固定撮影編)




 私は最近、大判カメラや、大判用レンズを装着した中判パノラマカメ
ラを使用した、天体の固定撮影に注力しています。

 ここでは、大判レンズを使用して固定撮影した私の経験をもとに、人
から聞いた話もいくらか交え(その部分はその旨明記)、レンズの性能
等について評価します。ご参考になりましたら幸いです。

 固定撮影では、ガイド撮影と違い、開放付近での抜群のシャープネス
や、コマと非点が無いことよりも、周辺光量が落ちないことが最も重要
です。超広角では、なおさらそれが言えます。周辺減光は、絞れば改善
されますので、実用絞り範囲をなるべく記載しています。
 シャープネスの差も出ますので、そのあたりも踏まえて記載していま
すが、やはりガイド撮影の結果とは別にしてあります。

 共通的な撮影条件は、文末にあります。

 フィルムサイズの書かれていない評価は、4x5版によるものです。

 コントラストは、特に問題が感じられた場合のみ、記載しています。


   45mm〜   90mm〜   150mm〜   210mm〜   300mm〜
Rodenstock APO-Grandagon 45mm/F4.5  ・ 612(中判セミパノラマ)で使っています。  ・ すばらしいレンズなのですが、いかんせん、この画角にもなると、   周辺減光がきつくて、絞り込まないと撮れません。それに、絞り込ん   でも、コサイン4乗則が強く出ますので、センターNDを常用してい   ます。  ・ 良く使うF値は、センターND併用でF11(以下F11+CND)ですので、   光量としてはF22相当です。F8+CNDで撮ることもあるのですが、後で   周辺減光の補正に苦労します。  ・ F11+CNDでも、プロビア400Fなら、天体の固定撮影は十分にできま   す。  ・ F11+CNDでも、かなり強い周辺減光があります。しかし、天体撮影   ではこれ以上絞れませんので(^^;)、仕方なくこの絞りで使っていま   す。月のある日には、F16+CNDとすることもあります。なお、CNDフィ   ルターは、マルミ製77mm(ケンコーのステップアップで77mmに変換)   を愛用していましたが、最近、ローデンの純正フィルターを入手しま   した。  ・ よく使うF11+CNDでの画質は、すばらしいです。トリミングしたう   えで、大伸しできます。私は、このカメラで撮った6x12の原板か   ら、上下をカットし、6x17相当の縦横比にして、32cmx98cmのサ   イズにプリントするということを、何度もやっています。ただし、2   段程度増感現像したプロビア400Fでは、このサイズにプリントすると、   粒状性は少々気になる場合があります(中間濃度部分の少ない固定撮   影ではあまり気になりません)。  ・ 新品(ただし店頭表示品)で購入したものです。
Schneider Supe Angulon 65mm/F5.6  ・ 612(中判セミパノラマ)に固定装着されています。  ・ 最近入手したもので、まだ2回の遠征でしか撮影していませんが、   結果は良好です。同じ612でも、45mmほど超広角ではないため、周辺   減光がきつくなくて、使いやすいです。  ・ ただ、どちらも、かなり絞り込んで使用したため、レンズの性能や   癖などが出る状況ではありませんでした。今後、使用を重ねて、また   レポートしたいと思います。
Nikkor SW 90mm/F4.5  ・ 4x5と617(中判パノラマ)で使っています。  ・ 4x5では、F11前後で撮ることが多いのですが、このF値では、概   ね良好な画質です。  ・ F11でも、周辺減光はあります。これは、レンズのせいというより、   コサイン4乗則によるところが大きいと思います。この種のレンズは   瞳の歪曲が大きいですので、コサイン3乗くらいになっているかもし   れません。  ・ F8では、周辺減光が目立ちます。  ・ ガイド撮影で大きな問題になるコマは、固定撮影では、あまり問題   になっていません。ただし、周辺部に輝星があると、動いた星の軌跡   部分でさえ、コマがわかることが時々あります。どのF値で、どの程   度影響があるかは、あまりテストしていません。  ・ なお、固定撮影でも、街灯など動かないものがあれば、当然ですが   コマが写ります。このレンズを、あまり絞り込まずに使う場合は、街   灯等が写ることを避けた方が良いと思われます。  ・ 617で使うと、F11でも周辺減光が強く、普通はF22近辺で使って   います。 プロビア400Fでは、F22でも、月の無い日の天体の固定撮影   が可能です。なお、617の対角線長は、4x5よりも少し大きいで   す。  ・ このレンズに合うセンターNDを入手しました。このレンズは、フ   ィルター径が82mmありますので、ケンコーやマルミの安価なものが供   給されておらず、入手困難かと思っていたのですが、ローデンシュト   ック製の高価なものを、意外に安くゲットしました。オークション様   様です。中心付近は1.5段の減光ですが、当然ながら、1.5段絞   るよりも周辺減光の補正効果が大きいです。固定撮影では、このセン   ターNDは手放せなくなりました。  ・ 4x5で使っている方は、新品で購入したものです。617には、   もう1本のレンズ(中古で購入)が、半固定的に装着されています。   外すこともできるのですが、ネジが奥まったところにあるのと、ピン   トリング当たり面で無限遠が出なくなると嫌なため、いじっていませ   ん(ここで言う「外す」というのは、レンズ交換をすることではなく、   レンズをリンホフボードに装着する目的で分解することです)。
Rodenstock Grandagon 115mm/F6.8 Nikkor SW 120mm/F8  ・ 似たようなレンズで、競合するものです。あまり明確な比較はして   いません。  ・ 一般撮影で、アオリを利かせる時は、ニコンの方が良く利きます。   この効果は、5mmの焦点距離差以上にあると思います。  ・ グランダゴンは、風で三脚が転倒しシャッターが不調になったため、   ヨドバシカメラ経由で駒村商会に修理に出したのですが、レンズのバ   ルサム面が浮いて戻ってきました。転倒のショックによるものだそう   です。しかし、シャッターの修理代を返してくれるという約束だった   のに返してくれず、レンズ自体も返してくれません。駒村商会、あま   りにも酷いです。こうなると、ローデンのレンズを、一般の人にお勧   めできなくなりました。  ・ ニコンの方は、新品で購入したものです。
Rodenstock APO-SironarW 150mm/F5.6  ・ あらゆるシーン、あらゆるF値で(絞り込んでしまえば差がなくな   りますが ^^;)、普通のオルソメタの150mmよりも、良く写ります。   といっても、実は最近入手したものですので、「あらゆる」と言える   ほど使い込んだ訳ではないのですが(^^;)。  ・ ニコンSW150mmの所で、イメージサークルが大きいレンズは概して   シャープネスが悪いという趣旨のことを書いたのですが、このレンズ   は、例外と言えるでしょう。もっとも、このレンズは、単にイメージ   サークルを大きくすることを主眼に設計されたものではありません。  ・ 包括角度に余裕がありますので、開放から、周辺減光が少ないです。   ただし、F5.6開放では、ピント合わせが(カメラの剛性問題なども含   め)シビアであり、なかなか成功しません。  ・ 既に生産中止です。中古も、玉数が少なく、かなり高価なことが難   点です。  ・ スーパージンマーHMの150mmを、入手しました。どちらも、同じよ   うなコンセプトの(イメージサークルがやや広めでイメージパフォー   マンスを追求した)レンズで、シュナイダーの方が新しい設計ですの   で、対決が楽しみです。
Nikkor SW 150mm/F8  ・ 8x10で使っています。超広角過ぎて、端の方がピントグラス上   で見えないため、ちょっと使いづらいです。  ・ このレンズに限らず、8x10用(という訳ではないのですが、意   味はわかりますよね ^^;)のレンズを4x5で使うと、シャープネス   が劣る場合が多いです。 私自身の経験としては、このSW150mmくらい   なのですが、世間でもよくそういう話を聞きます。このSW150mm/F8に   ついて言えば、同じニコンのW150mm/F5.6の方が、同じF値でも、開放   同士でも、明らかにシャープです。かなり絞っても、その差は埋まり   ません(ただし、絞り込めば、実用上の問題はなくなります)。この   レンズ(SW)は2本所有していますので(しかも1本はニコンの放出   品)、個体の問題ではないと思います。  ・ シャープネスが劣るというのは4x5の場合であって、8x10で   使うには、十分にシャープです。そして、同じ大きさに伸ばした場合   (8x10の方が拡大率が低い場合)には、もちろん、8x10の方   がシャープネスは勝ります。ただ、よほど大きくプリントしないと、   その差は出ないと思います(パソコンの画面では簡単に拡大できます   ので^^;)。  ・ F11では、周辺部の口径食がかなりあります。コサイン4乗則と合わ   せ、画像処理による補正が大変です。F11とF16とで、周辺部の光量は   あまり変化しませんので、F16で使うことになります。F22なら、もっ   と楽なんでしょうが、F16からF22にかけては周辺の光量も結構変化し   ますし、F22ともなると月の無い日には苦しいです(^^;)。フィルター   径95mmですので、センターNDの入手はほぼ無理でしょう。  ・ F16では、コマなどを感じたことはありません。Fが暗く長時間露光   のため、コマがあっても写らないのかもしれません。
Schneider スーパージンマーXL 150mm/5.6 アスフェリック  ・ 最近入手しました。8x10で使う予定です。  ・ まだ撮っていませんがピントグラス側から見ると、F11で、ニコンの   SW150/8をF16に絞ったのと同じくらいの口径食になります。F11で撮   れることが期待されます。  ・ このレンズは、イメージサークルを大きくすることを主眼に設計さ   れたものだと推測されますので、4x5に使うとどうかなぁ・・・と   考えています。撮影結果が出たらご報告します。因みに、ネット上で   見た評価では、すごくシャープだけど、残存コマ(と非点?)による   トンボ状の筋がかえって目立つそうです。
Schneider スーパージンマーHM 210mm/5.6  ・ 8x10で使っています。私の主力レンズで、出動したのにこのレ   ンズを使わない日は、まずありません(8x10は2台常用しており、   そのうち片方はたいていこのレンズです)。  ・ 製造中止されています。定価はかなり高価なレンズですが、中古は   結構安い(10万円台前半めど)ですので、8x10をやる人には自   信を持ってお勧めします。4x5でガイド撮影に使う人による、当レ   ンズの賞賛も、見たことがあります。  ・ F8で、十分に実用になります。ただ、周辺の口径食は少しあります。  ・ 固定撮影で最もよく使うF11では、何の不満もありません。  ・ シャープネスは、8x10では、とても良いです。微光星が良く写   ります。4x5で使ったことはありません。別の項で、8x10用の   レンズはシャープネスが悪いと書きましたが、このレンズは、おそら   く(^^;)大丈夫だと思います、というか、そう期待させてくれます。  ・ 開放で撮ったことは、まだありません。ただ、撮ってはいませんが、   ピントグラス側から見ると、開放では結構口径食があり、周辺減光は   少々出そうです。  ・ 上述ですが、HM150mm/5.6も入手しました。この210mmがとても気に   入ったからです。
Kodak Wide Field Ektar 250mm/6.3  ・ 8x10で使っています。  ・ 古いレンズですが、F11に絞れば、十分に実用になります。私は、   210mmと300mmの間(8x10で準広角になる美味しい焦点距離)をこ   れしか持っていないため、結構多用しています。  ・ コントラストは、古いレンズの割に良いです。ただし、自動車のヘ   ッドライトに横から照らされた時などの影響が、他の新鋭レンズと比   べると大きいようです(他は大丈夫だったのに、このレンズだけやら   れたことがあります)。  ・ 古い割に結構高価なレンズで(状態の良いものは10万円超)、CMフ   ジノン250mm/F6.3の中古より高いと思われますので、あまりお勧めと   は言えません。いくら実用になると言っても、CMフジノンよりも良い   ってことは無いでしょう(CMフジノンは使ったことないのですが^^;)。   もっとも、CMフジノン250mmの中古は、あまり見かけません。
Nikkor M 300mm/9  ・ 8x10を楽にカバーします。このレンズは、値段が安く包括角度   が小さいことから馬鹿にされている傾向があるかと思いますが、F11程   度の固定撮影常用F値でとてもシャープで、優秀なレンズです。  ・ 軽いし、安いし、お勧めです。  ・ ただし、F11あたりでは、周辺が僅かに流れます(星の軌跡ではわ   かりませんが、街灯などでわかります)。非点収差だと思います。中   心がすごくシャープなこともあり、画面中心と周辺の画質の差が、オ   ルソメタのレンズよりも、目立ちます。これは、テッサーによくある   現象かと思います。固定撮影では、周辺の流れが気になることはあま   りありませんが、ガイド撮影では問題になるかもしれません(ガイド   でF11は暗すぎますしね ^^;)。  ・ 固定撮影には焦点距離が半端なため、実は、使った回数は少ないで   す(^^;)。  ・ 4x5に使うと、画面中心の美味しいところだけ使うことになり、   とても優秀です。4x5では、主に一般撮影使っているため、F22あ   たりまで絞り込んでおり、何の不満もありません(周辺の流れも感じ   ません)。  ・ ただし、開放Fが暗いため、構図調整やピント調整が比較的難しい   です。冠布があれば、さほど見づらいことはありませんが、よく使う   F11あたりで、合焦時と使用時の絞りが大差ないことから、深度差を   稼げませんので、普段より慎重に合わせる必要があります。  ・ フジノンの同クラスレンズは、これより優秀だという話を聞いたこ   とがあります。これ以上、何が良くなるの?という感じですが、開放   付近での周辺の流れでしょうね、きっと。<−−−フジノンのカタロ   グにそう書いてありました。フジノンの方は使ったことはありません   が、フジノンは期待できそうですね。値段もあまり違いません。ただ、   フジノンの方は、中古が滅多に出ません(300mmは一度も見たことが   ありません。もっと長いのはほんの1〜2回見ましたが、それらはF   が暗くて天体用には苦しいでしょう)。  ・ 所有しているのは、ニコン放出品です。
 まだまだ続編があります。他のレンズの評価については、徐々に書き加 えていく所存です。  また、新たな撮影により違う結果が出た場合、あるいは過去のポジを見 て印象が変化した場合などには、修正も加えていきます。  このほか、私が所有している大判レンズは、機材コーナーで紹介してお ります。
<共通の撮影条件等>  いずれも、あまり「テストしよう」という目的で撮影しておりません ので、あくまでも気付いた範囲で書いています。  撮影は、いずれも(中判を除く)、アオリ機能のある、通常の大判カ メラで行っています。そのため、調整の不良でレンズの性能が発揮され ていない可能性もあります。しかし、カタボケのあるものは参考にしな いなど、なるべくレンズの性能を歪めて評価することがないよう、努力 しています。  4x5と8x10は、すべて吸引ホルダーを使用しています。  4x5は、吸引ホルダーを入手したのは数年前ですので、それ以前に 吸引せずに撮った写真による評価は、あまり含まれていません(少し含 まれているかもしれません^^;)。  8x10は、どういう訳か、カメラよりも前から、吸引ホルダーを所 有していました(^^;)。  中判の612と617は、吸引改造なしですが、多湿な日は乾燥空気 をカメラ内に送り込んでおり、かつ、フィルムが浮いたと思われる日の 結果は参考にしないようにしています(浮いた日の結果は参考にしよう がありませんが^^;)。  なお、吸引ホルダーでも、強く乾燥していて吸引の必要がないと判断 した日には、吸引せずに撮っていることもあります。日本では、あまり そういうことはありませんが。  F5.6級の明るいレンズを絞り開放近辺で撮影する場合、フィルムホル ダーは精度の良いものを選別して使っています(4x5のみ)。ただし、 選別し始めたのは最近であり、それ以前に撮った写真による印象も、上 記の評価には含まれています。  また、クイックロードホルダー(吸引式)については、最大2つ持っ ていたことがありますが、測定も選別も行いませんでした。  多くの場合、レンズには防露対策としてのヒーター(夏は懐炉、冬は 電気)を装着しています。  大部分は、中古で購入したものですので、個体の問題がある可能性は 否定できません。なお、2本持っているもの、新品購入したもの、メー カーでの検査やオーバーホール直後のもの等については、その旨記載し ています。  使用カメラは、次の物です(4x5は良く使うカメラのみ)。  ・ 8x10 タチハラ木製フィールドカメラ  ・ 8x10 カルメット(型番等不明、金属製半折りたたみ式)  ・ 4x5  ウィスタSP  ・ 4x5  ナガオカウッディ  ・ 6x17 アート617 (Nikkor   SW90mm/4.5のみ所有)  ・ 6x12 ホースマンSW(APO-Grandagon 45mm/4.5のみ所有)  ・ 6x12 メーカー不詳 (Super Angulon 65mm/5.6固定装着)
 英語ですが、こんなところもご参考になると思います。  http://www.largeformatphotography.info/lfforum/cat26-0-2-50.html  http://www.largeformatphotography.info/lenses4x5.html

  
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