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■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ □                               □ ■     米国西部、奇岩と峡谷の国立公園   号外 タヒチ3 ■ □                               □ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■  みなさん、こんにちは。hal-9000です。  タヒチ紹介の第3回で、ツアモツ諸島の景観です。  ツアモツ諸島は、タヒチ島の南東から北にかけて広がる、数多くの島 からなる諸島です。  ツアモツ諸島は、ほとんど全ての島が、環礁になっています。  筆者が行ったタタコト環礁も、ここに属しています。  筆者が行ったのはタタコト環礁だけですが、どこも似たような景観だ と思いますので、その前提でご紹介します(^^;)。  タタコト環礁(Google Map):  http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&ll=-17.345395,-138.399067&spn=0.088318,0.161362&z=13&brcurrent=3,0x0:0x0,1  Google Mapで「タカコト」と表示されることがありますが、これは誤 りで、正しくは「タタコト」です。現地人の発音も「タタコト」と聞こ えます。  環礁は、中央の島が浸食されてなくなってしまったものですので、岩 山がありません。  つまり、前回、モーレア島、ボラボラ島、タヒチ島と、岩山シリーズ をお届けしましたが、その続きができません。  そこで、環礁の景観に加え、環礁ができた訳などについてご紹介しま す。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ┌─────────────┐ │ツアモツ諸島(環礁)の景観│ └─────────────┘  冒頭記載のように、岩山がありません。  環礁の景観は、「椰子の木」と「ラグーン」に尽きます。  なお、環礁は細長い陸地ですが、幅がおよそ300mくらいあります ので、現地にいると、細いということをあまり実感できません。  高い所に上れば見えるのでしょうが、高い所が全くありません(^^;)。 教会などの高い建物に上ると、全景が見えるかもしれませんね。筆者は 高い建物に上る機会がありませんでした。  飛行機からは、良く見えましたが(^^)。  飛行機からの景観(タタコト環礁の西部を北から見たところ):  http://www.hal-9000.org/kigan/tht/3_tatakoto_from_airplane.jpg  現地にいても、外側を見れば「海岸線が丸味を帯びている」こと、内 側を見れば「環状であること」などは、実感できます。 ───────────────────────────────── ┌────┐ │椰子の木│ └────┘  環礁は、民家や空港のように利用されている土地を除くと、ほとんど が椰子の木で覆われています。  民家の周囲にも、空き地があれば生えています。  もっとも、民家の周辺には、別の木も結構あります(^^;)。  椰子の木は、島中に生えるほど生命力が強いのか・・・と、最初は思 っていました。  しかし、衛星写真を見て、どれもきちんと並んでいることに気付きま した。  つまり、島中の椰子の木が、人手によって植えられている様子です。  衛星写真(Google Map):  http://maps.google.co.jp/maps?ie=UTF8&ll=-17.352666,-138.442374&spn=0.00276,0.005043&t=h&z=18&brcurrent=3,0x0:0x0,1  因みに、上の衛星写真は、筆者が日食観測をした場所です。右の小島 がコロナの下に写るように陣取りました。  閑話休題。  椰子の木なんて、わざわざ植えるほど価値があるのかなぁ・・・と思 ったのですが、椰子の木(というか椰子の実?)の価値もさることなが ら、環礁を維持するのに必要なようです。  この点は、環礁の成因とともに、後述します。  椰子の木は、海岸線近くにもたくさん生えていますので、写真を撮る のに好適です。  ただし、風で揺れますので、星景写真の撮影は少々難しいです。  椰子の木の下は、危険です。  椰子の実が落ちてくることがあるからです。  もっとも、椰子の実が自分の頭の上に落ちてくる確率は、ものすごく 低いそうで、島の人達は平気で木の真下を歩いています。毎日、何度も 木の下を通る人達が平気なのですから、一生の間に数十回しか通らない 我々が気にする必要はないのかもしれません。  しかし、万万が一にも落ちてきたら、命にかかわります。注意するに 越したことはありません。  私は、日食観測の時、全天撮影の関係で椰子の木の下に陣取りました が、実の真下だけは避けておきました(^^)。  椰子の木が風で揺れたりすると、真下ではない方向に落ちることもあ るのでしょうか?ちょっと気にしながらの日食観測でした。  椰子の実は、中にジュース(というかほとんど単なる水)がたっぷり 入っています。  タヒチにいる間、あちこちで、このジュースを頂きました。  椰子の実のジュース:  http://www.hal-9000.org/kigan/tht/3_coconut_juice.jpg  実によって、結構、ジュースの味が違います。  小さい実は、少ししか頂きませんでしたが、いずれも香りが良く、飲 みやすいです。お代りが欲しくなります。  一方、大きい実は、僅かに生臭いことがあります。量が多いこともあ って、後半は飽きてしまい、全部は飲みにくいです。  ただし、大きいものの中にも、割と飲みやすいものはありました。  中のジュースを飲んだ後、スプーンなどがあれば、白い実の部分、日 本でいう「ココナッツ」の部分を食べることができます。  中のジュースも、実によって少し味が違いましたが、実の部分の味や 食感は、実によって全然違います。  熟した実は(たぶん熟しているのだと思いますが)、やわらかく、甘 みもあって美味しいです。一方、未熟な実は固くて食べられませんし、 かろうじて食べられる程度にやわらかくなった程度のものは、美味しく はありません。  椰子の実は、タヒチにいる間、何度かもらったり買ったりしましたが、 ジュースについては、タタコト環礁でもらったものは、割と大きい実も 含めて、すべてが美味でした。  また、実の部分が甘くて美味しかったのは、ここでもらったものだけ でした。  やはり、島の人は、椰子の実を選ぶ目があるのでしょうか。それとも、 椰子の実が豊富にあるので、良いものを選びやすいとか。  島によって、椰子の木の種類が違うのかも?そもそも椰子には、いろ いろな種類があるようですが。  因みに、モーレア島の港で買った、小さく割ってある椰子の実(つま り食べるためのもの)は、固くて、ほとんど食べられませんでした。 ───────────────────────────────── ┌────┐ │ラグーン│ └────┘  ラグーンは、モーレア島のラグーンなどと同じように、環礁の内側の 部分です。  筆者は、タタコト環礁ではラグーンで泳ぐチャンスはありませんでし た。  ── 実は、日食後に少し泳ごうと思っていたのですが、島一周(と    いうか東端までの往復)ドライブに連れて行ってくれるという話    が持ち上がったため、急遽そちらに行くことにしました。  環礁のラグーンは、モーレア島のと違い、浅い部分と深い部分があり ます。  タタコト環礁の内側(中央やや西寄り、北から環礁内側を見る):  http://www.hal-9000.org/kigan/tht/3_tatakoto_lagoon.jpg  写真から見るとわかると思いますが、陸のすぐ近くは浅いものの、ち ょっと先で急に深くなっています。  他のところも、だいたい似たようなものです。  浅い部分は、モーレア島のラグーンと似ています。  違いは、ナマコが少なかったことです(^^;)。 全くいなかったかもし れません(あまり気にしていなかったため、全くいなかったと断言はで きません ^^;)。  深い部分は、深さが数十mあります(これは現地で見たのではなく、 資料から得た知識です)。  モーレア島のラグーンにも、背が立たないくらい深いところはありま したが、せいぜい2〜4m、どんなに深くても10mはないでしょう。 それに、深さは徐々に増していきます。急に深くなるところは、筆者は 一度も見かけませんでした。  また、環礁の内側の大部分を、深い部分が占めています。  モーレア島のラグーンと違い、環礁の内側は、子供を遊ばせるには適 当ではないようです。  もっとも、環礁の外側の方が安全という訳では、全くありません。因 みに、現地の子供達は、外側の港で泳いでいました。  不思議なことに、上空から(飛行機から、あるいは航空写真で)見る 限り、深さがほぼ一定に揃っている感じがします。  あと、環礁には、外海とつながる水の流路があります。そこは、潮の 満ち引きの際には結構流れが速いそうですので、巻き込まれないよう注 意が必要です。  流れの緩い時なら、腰くらいまで浸かって、渡ることができるそうで す。日食の時にも、渡っている人がいました。  なお、この流路はモーレア島にもあるのですが、モーレア島では流路 に近づくことは有り得ないため、心配は要りません(流路があるのは外 周サンゴ礁の部分であり、そもそも近づけません)。 ───────────────────────────────── ┌─────────────────────┐ │環礁の成因(前編:現地で疑問に思ったこと)│ └─────────────────────┘  環礁とは、以前にも書きましたが、モーレア島のような「島+外周サ ンゴ礁」の「島」が浸食されて小さくなり、ついになくなってしまった ものです。  というか、そう思っていました。  しかし、腑に落ちない点もあるのです。  ひとつは、上記のように、深い部分が多いことです。モーレア島がこ の後どんどん浸食されていっても、中央に深い部分ができることは、説 明できないように思います。  地盤沈下があれば、深くなることも説明できますが、太平洋の真ん中 で広域に地盤沈下することは考えにくいですよね。  また、モーレア島の外周サンゴ礁は、波がかぶる程度の大きさです。  一方、環礁は細長い輪のような形ですが、いくら「細い」といっても、 幅が平均300mくらいあります。  モーレア島の外周サンゴ礁とは、どうも違う感じです。  さらに、「環礁の内側がラグーン」と言いましたが、実は、それがち ょっと違うようなのです。  タタコト環礁に行って気付いたのですが、環礁(約300m幅の人が 住んでいる陸地)の外側に、もう一回りサンゴ礁があって、波は そこで砕けているのです。  環礁から、ざっと100mくらいでしょうか。かなり近いです。  そのサンゴ礁の幅は狭いです。遠目には、モーレア島の外周サンゴ礁 と同じか、それより細いくらいに見えます。  環礁の外側を見たのはほんの数ヶ所でしたが、後で衛星写真で確認し たところ、環礁の周囲全部に亘って、このサンゴ礁がきれいに連なって います。  筆者が飛行機から撮影したタタコト環礁の写真を見ても、これがわか ります。  飛行機からの景観(再掲):  http://www.hal-9000.org/kigan/tht/3_tatakoto_from_airplane.jpg  島の周囲に、手前の方で薄茶色、右奥の方で灰色の、厚い帯状の部分 が見えます。  砂浜のように見えるかもしれませんが、ここは海です。この部分と、 島の緑の部分との間に、細く白い(純白ではなくやや黄色っぽい)部分 がありますが、これが砂浜です。  街中に1本、くっきりと道路が写っていて、それが右手前で海につな がる部分に黒っぽい四角い部分がありますが、ここが港です(船が入れ るように深くなっていて、その深い部分が黒く見えます)。  この部分(サンゴ礁から環礁までの間)は浅いですので、実はここも ラグーンなのだと思われます。 ───────────────────────────────── ┌─────────────┐ │環礁の成因(中編:つなぎ)│ └─────────────┘  という訳で、環礁は「外周サンゴ礁が残ったもの」ではなく、「外周 サンゴ礁の内側に作られたもの」ではないかと思い始めました。  モーレア島には、サンゴ礁の内側に、陸地は見当たりません・・・と 思っていたのですが、北西部のインターコンチネンタルホテル付近や、 南東部には、サンゴ礁の100mくらい内側に小島があります。  この小島は、サンゴ礁内側の陸地の出来始めなのかもしれません。  また、ボラボラ島は、改めて衛星写真を見ると、環礁と全く同じよう に、細長い陸地の外側をサンゴ礁が取り巻いています。  行く前に思っていた、「島+外周サンゴ礁」の「島」が浸食されて小 さくなりついになくなってしまったもの、という説明には、疑問が生じ ました。  そこで、環礁の成因について、帰国後に調べてみました。  タタコト環礁などで見聞きしたことや、私の推測も若干交え、概ね納 得できる説明が得られましたので、ご紹介します。 ───────────────────────────────── ┌────────────┐ │環礁の成因(後編:成因)│ └────────────┘  まず、火山島ができ、その海岸線にサンゴ礁ができます。  島は浸食されて小さくなります。  一方、サンゴ礁は、成長したり壊れたりしながら海面下ギリギリの位 置を保ちますので、当初の海岸線の位置をキープします。  ここまでは、既にご説明したのと同じです。  サンゴ礁の内側のラグーンは、そもそも深く削られることはありませ んし、島から流れてくる土砂もあって、浅い状態が保たれます。  現在のモーレア島が、この状態です。  因みに、この浅い部分にサンゴが繁殖しない理由が、まだよくわかり ません。  サンゴは所々にありますし、場所によってはカヤックで行き場がなく なるくらい繁殖しているのですが、どういう訳か、全体がサンゴに覆い 尽くされてしまうことはありません。  しかし、この理由の究明は置いておいて、話を先に進めます。  島が浸食されて小さくなっていくのと同時進行で、外周サンゴ礁の内 側100mほどの位置に、小さな陸地が形成されます。  なぜ陸地ができるかというと、外周サンゴ礁の死骸により、サンゴ砂 が供給されるからです。内側の島からの土砂も、少し寄与しているかも しれません。  なぜ100mなのかは、よくわかりませんが、波と海流の影響による ものなのでしょう。  サンゴ礁の内側のラグーンは、浅瀬が続いています。  現在のボラボラ島が、この状態にあります。モーレア島にも、小さな 陸地が、ほんの少しですが、でき始めています。  形成された陸地には、椰子の木などの植物が生えます。これにより、 浸食を防止する方向の作用が発生します。  サンゴ砂の供給による陸地の成長と、椰子の木による浸食防止作用が、 風雨や波や海流による浸食とバランスして、陸地の幅がおよそ300m に保たれます。  その後、中央の島が完全に浸食されて無くなり、環礁の形になります。  環礁の中のラグーンは、まだ、浅瀬になっています。  この状態の環礁が現在あるかどうかわかりませんが、ボラボラ島の北 側にトゥパイという環礁があり、候補になるかと思われます。  そのトゥパイの内側のラグーンは、衛星写真で見ると、結構深そうに 見えます。  もっとも、衛星写真は、撮った日によって色が違うため、わかりにく いです・・・ボラボラ島の西にあるマウピティという島は、この原稿を 執筆している2010年8月上旬現在、Google Mapでちょうど撮影日の 境界上にあり、東西で海の色が違っています・・・ボラボラはこの浅く 見える側と同じ色、トゥパイは深く見える側と同じ色ですので、両者は 実は同じ深さと見ることができるかもしれません。  さて、突然ですが、今までは氷河期でした。そうだったと思って下さ い(^^;)。  氷河期といっても、常夏のタヒチには、あまり関係ありません。  タヒチにも関係があるのは、氷河期が終わる時です。氷が融け、海水 面が上昇を始めるためです。  海水面が上昇すれば、地盤沈下と同じですね(^^)。  海水面の上昇は、ゆっくりと進みます。外周サンゴ礁は水面下ギリギ リを保ち、環礁の陸地は300mの幅を維持します。  しかし、環礁の内側のラグーンは、浅瀬を保てません。海水面の上昇 とともに、だんだん深くなります。  という訳で、こうしてできたのが、タタコト環礁など、中央に深いラ グーンを持つツアモツ諸島の環礁群です。  モーレア島やボラボラ島は、まだ中央の島が残っていますので、海面 が上昇しても、土砂の供給により浅瀬を保つことができたのでしょう。  そもそも、氷河期が終わってからできた島かもしれませんが(^^;)。  モーレア島やボラボラ島は、この先、浸食が進んでも、ラグーンは深 くならないものと思われます。  ただし、この先、再び海水面が上昇すれば、話は別です(そんなこと もありそうなので怖いですね ^^;)。  環礁の人が、サンゴと椰子の木を大切にする理由も、おわかり頂ける でしょう。  サンゴがなくなれば、サンゴ砂の供給が断たれ、環礁は浸食されるが ままになってしまいます。  コンクリートの護岸工事などをすると、自殺行為になりそうです。  椰子の木がなくなっても、浸食防止作用がなくなり、バランス的には 浸食が勝つことになります。  なお、ラグーンの深いところにも、少しはサンゴ砂などの堆積物があ るでしょうから、徐々に浅くなるものと推測されます。ただ、現時点で まだ深いということは、堆積の速度はかなり遅いのでしょう。  それと、環礁がサンゴ砂からできているとすれば、あまり多くの種類 の木が生えないのも、理解できますね。  椰子の木は、たぶん、サンゴ砂によるアルカリ性土壌に強いのでしょ う。  民家の横にある他の木は・・・私は良くわかりません(^^;)。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
           
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