カブト虫の羽化観察セットの飼育方法 資料B

(詳しく)

 

○ このカブト虫の幼虫セットは、カブト虫が「幼虫」から「サナギ」「成虫」になるまでを観察することができるように、透明な細長い容器に幼虫を入れたものです。

 

○ このセットは、基本的にはそのまま放置すれば、7月頃に、羽化した成虫が這い出して来ます。

 

○ ただ、若干の注意事項があります。ついでに、カブト虫の生態を憶えて頂くため、やや詳しくご説明します。

 


幼虫(4月下旬撮影)

蛹室(5月下旬撮影)

 


サナギ(6月上旬撮影)

 


 

注意事項

 

○ このセットは、陽の当たる所には置かないで下さい

 ── この容器は透明なため、温室と同じ働きがありますので、日光のあたる所に置くと中が高温になります。幼虫も、成虫も、数十分で死んでしまいます。

 ── それ以外なら、屋内でも屋外でも、たいていの所は大丈夫です。

 ── 冷房の効いた部屋に置いておくと、成虫になるのが少し遅くなりますが、遅れるのは少しだけです。かえって、夏休みになってちょうど良いかもしれません。

 

○ 近くで殺虫剤を使用しないで下さい

 ── 殺虫スプレーなどは、カブト虫にも害が大きいです。室内で、たまにちょっとスプレーするくらいなら大丈夫ですが、頻繁に使用する場合や、容器のすぐ近くで使用する場合には、注意が必要です。

 ── 蚊取り線香も、ちょっと焚くだけなら大丈夫ですが、頻繁に使用すると害があります。電気蚊取りは、蚊取り線香よりも比較的害が小さいようですが、どのくらいまで大丈夫なのかは良くわかりません。

 ── 殺虫剤を撒きたい場合には、一時的にセットを別の場所に移動して下さい。

 

○ 蛹室(サナギになるための楕円形の部屋)を作り始めたら、なるべく動かさないで下さい

 ── 蛹室が崩れると、もう一度蛹室を作るために体の中の水分をたくさん消費し、小さな成虫になってしまいます。

 ── もし幼虫がサナギになり始めてしまってから蛹室が崩れると、サナギになれずに死んでしまうか、あるいはきれいな成虫になれない(例えば羽根が曲がってしまう)ことになります。

 ── 蛹室が「崩れる」と書きましたが、蛹室の中にはゴミなどがなくツルンとしていることが必要です(不思議と、脱皮した皮は残っていても大丈夫です)。蛹室が完全に崩れてつぶれてしまうのがいけないだけでなく、中にマットの欠片が落ちていても害があります。

 ── 観察のため、あるいは移動のために、動かす際には、ケーキを運ぶのと同じようにそっと扱って下さい。ただし、ゴツンという上下方向のショックには、ケーキよりも弱いですので、置く時にはそっと置いて下さい。

 ── 容器の傾きにもケーキと同じように弱いですので、底の面を見たい場合には、容器を持ち上げて下から覗き込んで下さい。

 

○ もし、中のマット(オガクズ)が乾燥するようでしたら、水を少量加えて下さい

 ── 通常、乾燥してしまうことはないように、空気穴の大きさを調整してありますが、とても湿度が低い部屋などに置いていると、やや乾燥気味になることがあります。

 ── ものの本には「霧吹きを使う」と書いてありますが、コップでそっと入れても大丈夫です。加える量は、50ccくらいが目安です。水を入れる際は、一ヶ所に集中させず、全体に満遍なく振りかけるようにします。

 ── 既にサナギになっている場合は、サナギに水が直接かからないように(サナギの手前で全部吸収されるように)、ゆっくりと注いで下さい。逆に、上の方で全部吸収されてしまった場合には、大丈夫です(水分は徐々に容器全体に行き渡ります)。

 

○ もしマットが極端に減ってしまったら、マットを交換した方がベターです

 ── カブト虫の幼虫は、マット(オガクズ)を食べて育ちます。このセットには、中にいる幼虫が、サナギになるまでに食べるのに通常十分な量のマットを入れてありますが、希に大食いの幼虫がいて、マットがなくなってフン(黒い四角いもの)だらけになってしまうことがあります。それでも、エサ不足で死んでしまうことはほとんどありませんが、フンを捨ててマットを足した方が、大きく育ちます。

 ── マットの交換については、資料Cをご覧下さい。

 

○ マットには、コバエが発生することがあります

 ── コバエ(別名キノコバエ、普通のハエよりもだいぶ小さいもの)の幼虫は、マットだけでも育つため、コバエがマットに卵を産み付けることがあるのです。

 ── コバエが発生した場合でも、コバエが容器から外に出てこないように、空気穴には通気性のあるシールを貼ってありますが、希に幼虫がシールを食い破ってしまうことがあります。また、フタを開ければ、当然ですがコバエは容器から出て来ます。

 ── もし、容器内にコバエが発生しているのが見えたら、マットを全量交換すれば、たいていは駆除できます。その際、屋内では容器のフタを開けるとコバエが出て来てしまいますし、屋外でマットを交換するとまた卵を産み付けられてしまう可能性がありますので、屋外で既存マットを捨て、屋内で新しいマットを作るのがコツです。幼虫に付着しているマットは、あまり完全に落とす必要はありません(この部分にコバエの卵などが残っていることは、滅多にありません)。

 ── それでも万一、またコバエが発生してしまった場合には、もう一度マット全量交換をして下さい。

 ── なお、コバエは、人間にとっては鬱陶しいですが、カブト虫にとっては何も害はありません。放置しても構いません。

 

○ 希にケンカをすることがあります

 ── ペアの容器は、通常2頭を飼うのに十分な大きさがありますが、希にケンカをすることがあります。

 ── もしもケンカをすると、弱い方の幼虫が、マットの上に這い出してきます。

 ── そのまま長期間放置すると、弱い方が死んでしまいますので、恐縮ですがもう一つ適当な容器を用意し、分けて下さい。

 ── 用意する容器は、細長い(深さがある)ものが適しています。日本のカブト虫は、サナギになる時に縦長になるため、ある程度の深さが必要です。

 ── 一時的にマットの上に這い出していても、ケンカしているとは限りません(幼虫は、容器の中をあちこち動き回ります)。少なくとも3日くらい、様子を見て下さい。

 

○ 雌雄の判別は、完全ではありません

 ── ペアには、オスとメスを1頭ずつ入れています。ペア以外のセットも、オスかメスかを判別して、何が何頭入っているか明示しています。しかし、オスメスの判別は、幼虫の段階では100%正しく判断することが難しく、時々間違っていることがあります。ご了承下さい。

 ── カブト虫の幼虫の雌雄判別は、ヒヨコほど難しくはありませんので、90%以上は確実に判別できます。しかし、時々特徴がはっきりしないものや、特徴が逆に見えるものがいるのです。なるべく、間違いを30頭に1頭(ペアなら15セットに1セット)以下にするよう努めています。

 ── 雌雄の判別は、特徴が一番はっきりしている4月頃に行うようにしています。それより前にお渡しするものは、間違いが多くなります。なお、時期(幼虫の月齢)によっては、判別ができませんので、未判別でお渡しするセットあります。

 

○ 蛹室の中で成虫になったのが見えても、すぐには掘り出さないで下さい

 ── 成虫になってすぐは、体が柔らかいですので、触ったところが凹んでしまいます。

 ── また、脚も弱いですので、ちょっと触っただけで折れてしまいます。掘り出す際には、よく注意しないと、脚を折ってしまいやすいです。

 ── 成虫になって5日くらい経ったら、掘り出しても大丈夫です。ただし、この時期は、あまり動きませんので、掘り出してもあまり面白くはありません。

 ── もし掘り出した場合、エサはすぐには食べません。

 ── 掘り出さなくても、放っておけば、自然にマットを掘って這い出してきます。それを待つのが、一番のお勧めです。這い出して来たら、じきにエサを食べ始めます。

 

○ 成虫には、別途エサを与える必要があります

 ── 成虫は、幼虫のエサ(マット)は食べられません。昆虫ゼリーを与えて下さい。

 ── 昆虫ゼリーは、昆虫ショップやホームセンターなどで市販されています。小さなポーション(コーヒーに入れるクリームみたいな容器)に入ったものが一般的です。少量(15個くらい)のセットで300円くらいです。後述のようにフタを全部めくらないようにすると、15個で、カブト虫の成虫ペアを生涯飼育するのに丁度良い分量です。

 ── 成虫は、果物やキュウリなども食べますが、それだと長生きしません。

 ── エサは、ペアの場合は2個、それ以上飼う場合には、オス1頭に1個、メス2〜3頭に1個、同時に入れる必要があります。エサの数が少ないと、弱い成虫がエサにありつけません。

 ── ポーションは、フタを全部めくらずに、ナイフなどで一筋、切り込みを入れるだけにした方がベターです。その方が、エサが長持ちしますし、自然の状態(樹木の皮の隙間から樹液が漏れ出している状態)に近いため、良く食べます。

 ── エサは、食べ尽くされた時か、残っていても劣化したら(乾燥するか、カビが生えたら)、交換して下さい。フタを全部めくった場合は5〜7日程度、切り込みを入れただけの場合は10日〜2週間程度が目処です。

 ── このほか、虫かごなども、あった方が良いです(このセットの容器は、成虫が暮らすにはちょっと狭いです)。虫かごは、成虫がおしっこをしたり、ゼリーをこぼしたりすることがありますので、底が板状になっているもの(網状ではないもの)がお勧めです(底まで網状になっているのは、野外での補虫に使用したり、蝶などを飼うには良いのですが、カブト虫には向きません)。

 ── 虫かごではなく、適当な容器でも、空気穴があれば大丈夫ですが、昆虫が掴まれるもの(木の枝など)を必ず入れて下さい。カブト虫は、ひっくり返ると、掴まるものがないと起きあがることができず、ジタバタし続けるため消耗して、数日で死んでしまいます。

 

○ メスに産卵させるには、別の容器が必要です

 ── 成虫のオスとメスを一緒に飼っていると、メスは産卵できるようになりますが、このセットの容器は産卵にはやや小さいです。

 ── 産卵については、資料Cをご覧下さい。

 

○ 日本のカブト虫の成虫は、秋には全て死んでしまいます

 ── 冬を越すのは、幼虫のみです。魚でいうと、鮎のような「年魚」に相当します。

 ── 因みに、クワガタ虫は、成虫で越冬するものが多いです。

 

 

以 上